2022年2月例会・講演会
日 時:2022年2月12日(土) 13:30~17:00
実施方法:オンライン(Zoom)
参加者:28名
講演内容
(1) 「平面図形と波動工学」
講演者:大平 孝 氏(豊橋技術科学大学名誉教授)
以下の内容について講演された。
1.波動工学の図形表現
2.電界結合 WPT
(Wireless Power Transfer)
3.WPTの産業的位置付け
4.鉄道と自動車の変遷
5.EV走行給電
<内 容>
1.物理現象や法則は数式で示すより幾何学的に視覚化するのが効果的であり、講演者の専門である波動工学を平面図形で表した場合の理解のし易さを紹介された。
2.ワイヤレス電力伝送の3つの方式「磁界結合」「電界結合」「電波放射」について説明し、電界結合方式は、構造がシンプルで、構造がコンデンサのため電極間に電気力線があり、漏れが少なく、有効な方式であることが示された。
3.ワイヤレス業界の:放送、通信、電力(3つの矢)におけるワイヤレスの必要性と役割について説明された。
4.鉄道と自動車の電化の歴史の変遷について説明された。
5. EVのワイヤレス給電関連の事例、
・インフラでの車両への給電方法
・未来ビークル実験棟での実験内容
・電化道路社会に必要な電気的条件
について述べられた。
<質疑応答>
問.工場、オフィスでの普及はどうなっているのか。
回 答:電界方式、磁界方式が並行して研究されている。自動車会社では社内の研究は行われているが、外には出てきていない。
問.大電流への課題は何か?
回 答:1個の半導体ではGaNで1Kwまで、それ以上だと熱の問題が発生する。高周波電力をいかに効率よく伝送するかが課題。
<チャットによる質問>
問.高速道路で運用することが一番実用化が容易と考えます。道路局の研究組織のJICEでの取り組みがあれば教えてください。
回 答:法的な扱いは今から検討されます。
問.道路での充電とのことですが、渋滞して自動車の台数が多い時と、走っている自動車が少ない時で充電効率は、やはり違うのでしょうか?
回 答:渋滞があると複数台の給電になり、1台当たりのパワーは落ちる。しかし、スピードが落ちれば少ないパワーで走れるので問題なし。
問.Sパラや整合を図形で考えるのがとても直感的でわかりやすいと思いましたが、これに関する参考文献はありますでしょうか?
回 答:電子情報通信学会やCQ出版にて1年以内に「幾何的説明」の記事が掲載される予定
(2) 「IoTと電磁界シミュレーション」
講演者:小川 隆博氏( 株式会社エム・イー・エル 代表取締役)
(株)エム・イー・エルが開発を行っているモーメント法電磁界シミュレータを用いてワイヤレス電力伝送を中心に、以下のような内容について講演された。 (配布資料あり)
1.MEL社の電磁界シミュレータの紹介
2.電磁界解析の必要性
3.モーメント法による電磁界解析の原理
4.ワイヤレス電力伝送の概要と電磁界解析例
5.小型アンテナの概要および電磁界解析例
<内 容>
3.モーメント法の計算手順、特徴、その他の解析方法(FDTD法、有限要素法)との比較の説明があった。
4.ワイヤレス給電の方式および様々な条件でのシミュレーション結果についての紹介があり、シミュレーションの有効性が示された。
<チャットによる質問>
問.グランドウェーブには指向性があるのですか?ある場合は強い指向性ですか?強い指向性があれば高速道路表面をねらった送電が可能となりますか?
回 答:グランドに対して指向性がある。中波だと1/2λの距離で強弱、ワイヤだと無指向性。途中に川や海があるとそこで放射が起きる。
問.解析されるときに、周波数は1個だけでなく、千個も測定しているのは、なぜですか?
回 答:どこに表示されるのか分からないので細かくサンプリングすれば抜けがない。
問.シミュレータの開発において「シミュレーション結果の妥当性の検証」はどのように行うのでしょうか。
回 答:実験結果との比較を行っている。また、他のシミュレータとの結果への入れ込みを行っている。
オンライン懇親会(17:15~18:10)
講演者2名を含む12名の参加でオンライン懇親会を実施。
講演時にあった平面図形法や自動車の自動ワイヤレス給電法の可能性について意見交換を行った。
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